【父97歳のこと 13】
「鳥」
【葬儀後1日目】 静かな時間..
目がまわってるようで焦点が定まらない
ずっと横になり、何も考えたくなくてひたすら連続モノのドラマを見る
でも急に父のことが浮かんで、居ない事を実感して、悲しみや辛さが体の奥から込み上げ吐くように泣く
その繰り返し..
夕方、一気に込み上げてきてベランダへ.. 「おじいちゃんどこにいるの」と嗚咽がとまらない
父のあとを追いたい
そんな事をしても、父と同じところへは行けない、悲しむとわかっていても
亡き人の後を追おうとする人の気持ちがやっとわかった
しばらく泣いていると、目の前の枝に、小さな緑色の鳥がとまり鳴きだした
ここにいるよと言ってるよう
そして、西には美しい空、沈んでいく太陽を見る。この沈む先に父は向かっているのかな
自分がいつもの自分にもどれる気がしない
でもふと、自分のことを心配してくれる人のことが浮かぶ
【葬儀後2日目】
朝起きると、少し気持ちが楽になっている
また1日横になり過ごす
昨日より、思い出して泣く回数は少なくなる
また西の空が綺麗
立ち直れるかもしれないと思える
【葬儀後3日目】
身体も心も立て直さなくてはいけない、心は動かないけど、とにかく身体を動かそう
朝から持ち帰った荷物の整理と洗濯、溜まっていた郵便物の仕分け、トイレ掃除など、放ったらかしにしていた家の掃除、夕方までひたすら動く
夕方掃除が済んだら、主人に声をかけ散歩..
庭に白い藤の花?初めて咲いた
有馬川添いから金仙寺へ
外の空気、緑、川の音.. 心に風が流れる
大きな夕日が綺麗
やっと話ができる
この2日返事をするぐらいで声が出なかった
誰とも話をしたくなかった
二度と笑えないんじゃないかと思ってた
【葬儀後4日目】
久しぶりに実家に行き、探し物と掃除をしていると、色んな古い資料が出てくる
ノートには父の字、本当にキチンとしてたもんね
私が生まれた年の新聞? 万博のことが書いてある
外を掃いていると、通りがかりの人に「最近ここの方見ないですね」と話しかけられる。「4/27に亡くなりました」と伝える
あのおじいさんが縁側に居ない
ご近所さんの淋しいが広がっていく
亡き後にしなければいけない事をする
◯新聞をとめる
◯お寺さんに満中陰と納骨のお願い
◯石啓 さんにお墓の刻字のお願い
職場へ行く道で、車の前を鳩が横断
急ぐ仕事だけ済ませ、娘に届けものをして、帰りに車で信号待ちをしていると、車の屋根から小石がぶつかるような音が聞こえてきた
横のショーウィンドウで見ると、車の屋根の上をカラスがウロウロしているのが映ってる(笑)
側に来る生き物は父からのメッセージと、ベランダで小鳥が鳴いてから思うようになった
そしたら毎日メッセージが届く(笑)
たくさんの人に心配してもらい、寄り添ってもらい
自分も小さな努力をして、日常が戻ってきた
もう大丈夫
もう大丈夫
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